5GHzトランスバータ25年越しの完成へ(6)
6.送受信切り替え同軸リレーのコントロール回路の設計方法
「2.送受信切り替え同軸リレーのコントロール回路」に記載した同軸リレーのコントロール回路は、次の回路図のとおりです。
この回路は、次のように検討して、トランジスタの選定や各抵抗の値を決めました。
1 手持ちのトランジスタは、2SC1815Yと2SC3266GRである。
2 トランジスタ1つだと、ベースがオン(+)でコレクタ(リレー)がオンとなる回路となってしまう。送信時に入力がGNDとなった時に、コレクタがオンとなるためには、リレー制御のトランジスタの前に反転回路を追加する必要がある。
3 前段のトランジスタのベースがオンの時にコレクタがGNDになるようにすると、その時に後段のトランジスタがオフになる。前段のトランジスタのベースがGNDとなるとコレクタがオフになるので、その時に後段のトランジスタに+12Vが加わればよいと考え、上記の回路とした。
4 同軸リレー(ヒロセHCS2-110-F)のオン電流は120mA(11~14V動作)であり、Tr2のコレクタ電流は120mA以上必要となるため、2SC1815はIc150mAでぎりぎりのため、Icが2Aとれる2SC3266を選択した。
5 2SC3266GRのhfeは、カタログでは200~400となっているが、手元の実物をデジタルテスタ―で計測したところ、hfeは132であった。
6 Tr2のIcにリレーのオン電流である120mAを流すには、Tr2のベース電流IbはIc÷hfe=120mA÷132=0.9mAとなる。
7 Vccが+12VでTr2のベース電流を0.9mAとするため、R2はVcc÷Ib=12V÷0.9mA=13,333Ω≒12kΩ(標準的なE12系列かつ手持ち)とした。
8 Tr1のコレクタに12kΩが接続されるため、Tr1がオンになった時に流れる電流は、Vcc÷R2=12V÷12kΩ=1mAとなり、2SC1815の定格Ic150mAでまかなえる。
9 Tr1に使用する2SC1815Yのhfeは、カタログでは70~140となっていたが、手元の実物をデジタルテスタで計測したところ、hfeは145であった。
10 Tr1のIcを1mAとするには、Tr1のベース電流IbはIc÷hfe=1mA÷145=6.8μA、R1は9V÷6.8μA=1.3MΩと計算される。
11 しかしながら、IbがIcの1/145でありかなり小さく、ノイズ耐性や安定動作に不安があることから、上記の3倍のIb=6.8μA×3=20μAとすると、9V÷20μA=450kΩとなった。
12 さらに余裕を考慮して330kΩ(標準的なE12系列かつ手持ち)を採用した。この値はhfeをカタログ最低値の70の半分である30程度とした場合のIb=1mA÷30=33μA、R1=9V÷33μA=273kΩより大きい値である。
13 R1を330kΩとするによりIb=9V÷330kΩ=27μAとなり、トランスバータのコントロール端子の出力電流最大値0.1mA(100μA)未満を満たす。
14 上記で計算した抵抗値により、上図の回路を組み上げて動作させたところ、正常にリレーが切り替わることを確認した。
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