おもちゃの修理記録(3)救急車
【不具合症状】
ボタンが使えず、音が出ない
【依頼症状の確認】
電池を新しいものに入れ替えているとのことだったが、ボタンを押しても反応がない。前回同じ症状を修理してもらったが、直って受け取って遊んでいたら、またすぐ反応しなくなってしまったとのこと。ねじのゆるみなどですぐ修理できる可能性も考えられたのでその場で中を確認したところ、スイッチを取り付けてある基板が割れていることが判明したため、入院とした。
【原因究明と修理方法】
1 3つのボタンは、がたつきなどはないが、特に真ん中のボタンは押しても押せず、戻っていない感覚がある。(この戻っていない感覚については、基板割れの補修とは別の対応が必要であることが後ほど判明した。)
2 電池を取り外してから、裏側のねじ6本を外すと車体を開けることができる。ねじはかなり奥に止めてあるので、柄の長いねじ回しが必要である。また、ねじを外してもボディを外すのが固いので、注意を要する。開けた後に確認したところ、6本のねじ留め部分がそれぞれはまるようになっていて、ボディと車体をまっすぐに取り付け取り外しする必要があると思われた。
3 ボディを外すと、屋根上のカバーを取り付けたねじ4本が天井に見えるので、これも外して、屋根上カバーを分離した。
4 屋根上カバーの中にあるスイッチが取り付けられている基板が割れていた。
5 割れた基板を補強して再利用する方法も考えたが、耐久性に疑問があるため、新たに基板を作成することにした。スイッチは外して再利用するため、また、基板は寸法や取り付け穴の位置を合わせる基本とするため、丁寧にはんだを外した。なお、前回の修理では下の2枚目の写真の基板上部に見える透明なプラスチック板で割れた基板を接続したものと思われた。
6 基板は幅17mm長さ72mmの片面基板であったので、手元の片面プリント基板を同じ大きさに切り出した。
7 元の基板と穴の位置を合わせるため、切り出した基板にセロテープで仮止めし、元の基板の穴からピンバイス(手持ちドリル)で切り出した基板に穴を開けた。
8 穴の開いた基板の銅箔面に、元の基板の回路をマジックで書き写した。
9 書き写した回路の境界部分にPカッターで溝を切り、回路を作成した。
10 出来上がった基板の銅箔面をボンスターで磨いてからフラックスを塗り、基板が完成した。
11 元の基板のから取り外したスイッチをはんだ付けして取り付け、スイッチ基板が完成した。
12 元の通り配線をはんだ付けした。この状態で電池を入れ、3つのスイッチで動作することを確認した。
13 出来上がった基板などを、元の位置にねじ止めして動作確認したが、真ん中のボタンの戻りが悪く、一度押すと戻らない状態となってしまった。再びスイッチ基板を外してボタン裏側の状態を確認したところ、中に入っているスプリングがスイッチを押す棒状部分の長さとほぼ同じ長さであり、スプリングが効いていないように思われた。
14 そこで真ん中のボタンのスプリングを手持ちの少し長めのスプリングに交換したところ、ボタンを押した後にきちんと戻るようになった。下の1枚目の写真の右側が元のスプリング、左側が入れ替えたスプリングであり、交換後の状態は下の2枚目の写真のようにほかのボタンよりスプリングが少し飛び出る状態となった。
15 正常動作が確認できたので、すべての基板を取り付け、ボディもねじ止めして修理を完了した。
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