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2023年4月24日 (月)

おもちゃの修理記録(11)おいかけっこアンパンマン

【不具合症状】
動作しなくなったため自分で人形の中を出したところ、手の中のスイッチへの配線が切れていたので、その部分を直してほしいとの依頼があった。

【依頼症状の確認】
取り出された中身から出ている配線を短絡したところ動いたので、スイッチへのはんだ付けをすれば修理完了と判断された。

【原因究明と修理方法】
1 一旦スイッチへの配線をはんだ付けし、人形に中身を詰め込んだところ、再び配線が切断されてしまい、動作しなくなった。そのため、スイッチ基板にある穴に配線を絡めてからはんだ付けし直した。
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2 手の内側にスイッチを納め、袋状の部分を縫い付けてから、本体を人形の中に入れた。綿がたくさん入っているため、スイッチへの配線に気を付けながら作業した。
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3 手のひらのスイッチで動作することを確認し、修理を完了した。
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おもちゃの修理記録(10)スマホロトム

【不具合症状】
起動しない。

【不具合症状の確認】
他のドクターが担当していたが、不具合原因と考えられる電解コンデンサを取り外すことが困難である旨の依頼があり、引き継いだ。引継ぎ時点でケース等は外してあった。

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【原因究明と修理方法】
1 依頼事項であった電解コンデンサの取付状況(赤丸2か所)を確認したところ、両面基板のスルーホールへのはんだ付けのため、今までの経験上はんだを取り除きながら工夫して取り外す必要があると判断された。また、電池への配線のはんだ付け(青丸)が不安定なため、対応が必要であった。
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2 ディスプレイ側の基板配線からもはんだを取り除く必要があり、ディスプレにはんだごての熱でダメージを与えないようにするため、基板裏面の4つのねじを外した。
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3 はんだごてとはんだ吸い取り器を使用し、電解コンデンサを取り外してスルーホールのはんだも取り除いた(赤丸2カ所)。電池への配線も作業の安全のため、一旦取り外してスルーホールのはんだを取り除いた(青丸)。
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4 取り外した2つの電解コンデンサの容量を測定したが、やや低めのものもあるが容量抜けなどの状況はなく、正常と判断された。(1つ目470μF、2つ目220μF)
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5 異状がなかった電解コンデンサを元の位置にはんだ付けし直し電池を接続したが、起動しなかった。そこで、基板上にある2つの水晶発振子(時計用32.768kHz(赤丸)、制御マイコン用6MHz(青丸))の状態を小型オシロスコープで確認したところ、発振波形が不自然か、発振が正常に見えてもしばらくして止まってしまう状況であり、水晶発振子の不良が疑われたため、交換することとした。
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・ 発振波形
(32.768kHz水晶発振子)
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しばらくすると↓
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(6MHz水晶発振子)
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しばらくすると↓
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6 水晶発振子の交換に当たり、32.768kHzの発振子は他のドクターの協力により同じ大きさのものが入手できたが、6MHzの方は表面実装型のものしか入手できなかった。表面実装型であっても基板と電池ケースとの間に収まることが確認できたため、これを取り付けた。さらに電池への配線が太く短いため基板にストレスをかけていると考えられたので、少し細く長めの配線に交換した。次の写真の赤丸2つは交換後の部品であり、青丸は交換前の部品を比較のため隣に置いたものである。
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7 水晶発振子交換後に基板へ直接電池を接続して起動確認したが、電池ボックスに電池を入れると起動しないという状況であった。電池ボックスの裏に取り付けられた抵抗のように見える部品(赤丸:ヒューズと思われる)の導通がなかったことから、これを取り外して配線ケーブル(青丸)で接続したところ、電池ボックスからの電源で起動することができた。
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8 以上で起動画面を確認できたため、修理を完了した。
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【参考】 6MHzの正常な水晶発振子と取り外したものについて、LiteVNAで5MHzから7MHzにかけての状態を比較したところ、正常なものでは6MHz付近にピークが生じたが、取り外したものは同様の状況が認められなかった。

(正常な水晶発振子)
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(取り外した水晶発振子)
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2023年4月 8日 (土)

おもちゃの修理記録(9)ラジコンバギー

【不具合症状】
車輪を駆動してしばらくすると「ギャー」という異音がする。
【依頼症状の確認】
裏返しにして車輪を駆動させると、最初は問題ないが、しばらくすると後輪の駆動部から歯車がこすれているような異音がする。
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【原因究明と修理方法】
1 本体の電池6本を取り外した。
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2 後輪のギアボックスを開けるためにタイヤを取り外した。タイヤの中心の穴の奥にねじがあるので、長い柄のドライバーが必要である。
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3 ギアボックスのねじ6本(青)と車軸のねじ5本(赤)を取り外した。ギアボックス(青)と車軸(赤)のねじの長さが異なるので、分けて保管する必要がある。
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4 ギアボックスの中はさびと汚れまみれであった。
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5 汚れとさびによる異音発生が考えられたので、可能な限り汚れとさびを落とし、グリスアップして、ギアを組み直した。
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6 ギアボックスの蓋をねじ止めして、確認のため車輪を駆動させてみたところ、傾けると異音が発生する状況であった。
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7 ギアボックスを開け、車軸とギアを取り除き、モーターだけにして蓋を開けたままモーターを駆動させてみたところ、ギアのこすれるような異音が発生した。モーターの状態を確認すると、モーターに取り付けられている歯車とギアケースの隙間が少ないことに気が付いた。また、ケースの該当部分が少し削れているように見えた。
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8 モーターを取り外して手で軸を動かすと遊びがかなり大きく、回線数が上がったり傾けたりすると、モーターの軸が歯車側に伸びてケースとこすれていると思われた。モーター軸の上面が歯車の上面より落ち込んでいるので、歯車をさらに押し込めば、歯車のこすれが解消されると思われた。
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9 モーターの軸を木の台に当たるように載せ(あるいは歯車を台の側にして)、様子を見ながら金槌で歯車(上下逆にした場合は車軸)をたたいて、歯車の上面とモーターの軸がほぼ同じ面になるようにした。
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10 モーターをケースに入れると、歯車とケースの間に隙間があることが確認できた。
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11 ギアボックスを組み直して異音が発生しないことを確認し、修理を完了した。
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おもちゃの修理記録(8)電動シャボンガン

【不具合症状】
落した後に、ガラガラと大きな音がするようになった。
【依頼症状の確認】
レバーを引くとシャボン玉は出来るが、ガラガラと大きな音がする。
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【原因究明と修理方法】
1 拳銃部分を分解するため、次の写真の電池のねじ(青)を外した後、本体のねじ(赤)7本を外したが、分解できなかった。
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2 引き金の下の台座カバーを外したところ、その中にもねじ(赤)が1本あった。これを外したところ、拳銃が分解できた。
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3 モーターにプロペラが取り付けられている部分を、次の写真の8か所の爪を順次外して左右のケースを少しずつ開きながら分解した。
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4 プロペラの羽根のうち1枚が折れていた。固さと色からABS樹脂と思われる。
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5 プラリペアという造形接着剤を使用して、折れた羽根を接着した。接着剤が固まって凸凹した部分は、やすりで削ってできるだけ平らにした。
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6 先端のカバーも割れていたので、プラスチック用接着剤で接着した。この部分は柔らかい素材でポリプロピレンと思われ、プラリペアでは接着できない。
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7 本体ケース内部に、他にも破片があった。電池ケースを囲む部分の一部であったが、残っている部分で電池ケースが固定されるため、この部分の補修は省略した。
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8 各部品を納めた。
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9 最後に引き金を取り付けた。
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10 カバーを嵌め合わせてから、8本のねじを締めた。
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11 台座のカバーを取り付け、異音が発生せずにシャボン玉が作られることを確認して、修理を完了した。
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