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2023年4月24日 (月)

おもちゃの修理記録(10)スマホロトム

【不具合症状】
起動しない。

【不具合症状の確認】
他のドクターが担当していたが、不具合原因と考えられる電解コンデンサを取り外すことが困難である旨の依頼があり、引き継いだ。引継ぎ時点でケース等は外してあった。

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【原因究明と修理方法】
1 依頼事項であった電解コンデンサの取付状況(赤丸2か所)を確認したところ、両面基板のスルーホールへのはんだ付けのため、今までの経験上はんだを取り除きながら工夫して取り外す必要があると判断された。また、電池への配線のはんだ付け(青丸)が不安定なため、対応が必要であった。
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2 ディスプレイ側の基板配線からもはんだを取り除く必要があり、ディスプレにはんだごての熱でダメージを与えないようにするため、基板裏面の4つのねじを外した。
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3 はんだごてとはんだ吸い取り器を使用し、電解コンデンサを取り外してスルーホールのはんだも取り除いた(赤丸2カ所)。電池への配線も作業の安全のため、一旦取り外してスルーホールのはんだを取り除いた(青丸)。
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4 取り外した2つの電解コンデンサの容量を測定したが、やや低めのものもあるが容量抜けなどの状況はなく、正常と判断された。(1つ目470μF、2つ目220μF)
Dscn2431
Dscn2432

5 異状がなかった電解コンデンサを元の位置にはんだ付けし直し電池を接続したが、起動しなかった。そこで、基板上にある2つの水晶発振子(時計用32.768kHz(赤丸)、制御マイコン用6MHz(青丸))の状態を小型オシロスコープで確認したところ、発振波形が不自然か、発振が正常に見えてもしばらくして止まってしまう状況であり、水晶発振子の不良が疑われたため、交換することとした。
Dscn2436

・ 発振波形
(32.768kHz水晶発振子)
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しばらくすると↓
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(6MHz水晶発振子)
Dscn2434
しばらくすると↓
Dscn2441

6 水晶発振子の交換に当たり、32.768kHzの発振子は他のドクターの協力により同じ大きさのものが入手できたが、6MHzの方は表面実装型のものしか入手できなかった。表面実装型であっても基板と電池ケースとの間に収まることが確認できたため、これを取り付けた。さらに電池への配線が太く短いため基板にストレスをかけていると考えられたので、少し細く長めの配線に交換した。次の写真の赤丸2つは交換後の部品であり、青丸は交換前の部品を比較のため隣に置いたものである。
Dscn2604

7 水晶発振子交換後に基板へ直接電池を接続して起動確認したが、電池ボックスに電池を入れると起動しないという状況であった。電池ボックスの裏に取り付けられた抵抗のように見える部品(赤丸:ヒューズと思われる)の導通がなかったことから、これを取り外して配線ケーブル(青丸)で接続したところ、電池ボックスからの電源で起動することができた。
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8 以上で起動画面を確認できたため、修理を完了した。
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【参考】 6MHzの正常な水晶発振子と取り外したものについて、LiteVNAで5MHzから7MHzにかけての状態を比較したところ、正常なものでは6MHz付近にピークが生じたが、取り外したものは同様の状況が認められなかった。

(正常な水晶発振子)
Dscn2614

(取り外した水晶発振子)
Dscn2615

 

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