おもちゃの修理記録(72)ドリームスイッチ2【修理不能】
【不具合症状】
動作しなくなった。
【依頼症状の確認】
他のドクターから引き継いだが、電池を入れ電源アダプタを繋いだ状態にしても、電源スイッチを含むいずれのスイッチにも反応が無かった。
【修理方法】
1 内部を確認したところ、ACアダプタ端子部分からの配線が切れかかったりしていたため、配線を交換するなどしたが、動作に変化はなかった。
2 漏れ電流があるようであったので電源直近の電解コンデンサを交換した旨を前担当のドクターから聞いたので、電解コンデンサを確認したが液漏れなどは認められず、念のため電解コンデンサのいくつかを外して容量の確認などをしたが、不具合はなかった。
3 電源端子の5V端子とGNDの間の抵抗値を測ったところ、アダプタを接続していない状態では98Ωであったが、アダプタを接続すると2.8kΩとなった。また、OFFとGNDの間の抵抗値は、アダプタを接続していない状態では0Ω(ショート)、アダプタを接続すると98Ωとなった。このことから、アダプタを接続していない状態では回路を守るために電源ラインをGNDへ低抵抗でショートさせているのではないかと思われ、電源ラインの電流は、スイッチオン前の待機電力だけであることが想定された。
4 電源の不具合の可能性もあるため、別の電源を接続して動作確認したが、状態に変化はなかった。
5 メイン基板上に12MHzの発振器が付いていたので、アダプタを接続した状態で受信機を12MHzに合わせて受信機のアンテナを基板に近づけたところ電波が受信できたので、発振していることは確認できた。
6 アダプタから本体へ流れる電流を測定したところ、アダプタを接続した状態では49mAであった。電源スイッチを押すと一旦69mAへ上昇するが、しばらくすると49mAに戻ってしまった。電源スイッチを押すことへ反応しているようであるが、起動時の初期処理に失敗して待機状態に戻っているように思われた。
7 スイッチの接触不良も考えられたので、分解して接点の状態を見てから組み立て直してオンオフの抵抗値の変化を確認したが、異常は認められなかった。
8 スイッチ部の回路を確認したところ、「V33」表示のある端子は電源から常に3.297Vがスイッチ基板に供給されていて、押されたスイッチの端子に3.297Vが出てくるようになっていた。スイッチの端子間に導通は無く、3.8MΩであった。
9 各スイッチを押した時のスイッチから基板に接続されている端子の電圧変化を測定した。電源スイッチ(基板に「ON」表示された端子)は、押していない時は0Vであったが、押した時は3.297Vに上昇し、離すと0Vに戻った。その他のスイッチ(基板表示は「ME」「DO」「SE」「R」「L」「UP」「OK」の7つ)は、押していない時も押した時も3.297Vで変化しなかった。
10 上記9の状況から、すべてのスイッチについて、本来は「ON」端子と同様に、押されていない時は0V、押された時に3.297Vが出てくるべきところ、スイッチの制御用ICの不具合等で、常に3.297Vが出てしまう状態であると考えられた。
11 スイッチの制御ICは、樹脂で覆われているため状態及び配線の確認は出来ず、樹脂の周囲には不良個所が認められないため、IC不良により修理不能と判断した。
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