2023年1月24日 (火)

SHF測定器(検波器)の製作(8)自作検波器の実力(?)確認

完成した検波器がどれほど使い物になるのかを、手元に1.5GHzまで使用できる10dBと20dBのMini-Circuitsのアッテネーターがありましたので、これを使って検討してみました。このアッテネーターはBNCコネクタのため、いくつかの変換コネクタを介しての接続となりました。ロスがかなり生ずるとは思いますが、アマチュアの実験と割り切って作業しました。

まず、使用する変換コネクタをすべて接続した状態の測定です。1200MHzトランシーバーは3.756V、5GHzトランスバータは18.9mVとなりました。

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1odBアッテネーターを介した値は、1200MHzでは1.002V、5GHzでは1.8mVとなりました。

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20dBアッテネーターでは、1200MHzで0.322V、5GHzで0.5mVとなりました。

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電力P=電圧EX電流I、電流I=電圧E÷抵抗Rですので、P=(E^2)/R(電力は電圧の2乗割る抵抗値)となります。
そして上記計測に使用した自作検波器の抵抗値は50Ωと共通ですので、たとえば電力P1とP2の比は電圧E1とE2の2乗の比になります。P1:P2=(E1^2)/R:(E2^2)/R=E1^2:E2^2

1200MHzでのアッテネーター10dBとなしの電圧は1.002Vと3.756Vですので、電圧比は1.002/3.756=0.266773、電力比は0.266773^2=0.071168となり、dB換算すると、10log(0.071168)=-11.477dBとなることから、アッテネーター10dBの減衰量にほぼ一致します。
また、アッテネーター20dBとなしの電圧は0.322Vと3.756Vですので、電圧比は0.322/3.756=0.08573、電力比は0.08573^2=0.0073495となり、dB換算すると、10log(0.0073495)=-21.337dBとなることから、アッテネーター20dBの減衰量にほぼ一致します。
アッテネーター10dBと20dBの測定値の差は、21.337dB-11.477dB=9.86dBとなり、アッテネーターの差にほぼ一致しますので、それぞれの測定値(計算値)がアッテネーターの表示値と1dBほどの差があるのは、接続コネクタの損失かもしれません。

一方5GHzでは、アッテネーター10dBとなしの電圧は1.8mVと18.9mVですので、電圧比は1.8/18.9=0.095238、電力比は0.095238^2=0.009070294となり、dB換算すると、10log(0.009070294)=-20.42dBとなってしまいました。
アッテネーター20dBとなしの電圧は0.5mVと18.9mVですので、電圧比は0.5/18.9=0.026455、電力比は0.026455^2=0.000699868となり、dB換算すると、10log(0.000699868)=-30.55dBとなります。
しかしながら、アッテネーター10dBと20dBの測定値の差は、30.55dB-20.42dB=10.13dBとなりますので、アッテネーターの差にほぼ一致します。
アッテネーターが1500MHzまでのものであるので、接続部等での損失が10dBほどあるのかもしれません。
このことについては、5GHzで使用できるアッテネーターを入手して、後日検討してみようと思いますが、作成した検波器が5GHzでもそれなりに利用できそうに思っています。

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SHF測定器(検波器)の製作(7)5GHzトランスバータ各部分の計測

出来上がった検波器で、5GHzトランスバータのロスなどを確認してみようと考え、各部分を測ってみました。

まず、ローカル発振器の2240MHz出力は2.872Vでした。1200MHzトランシーバーの100mW出力と比較して、それなりの出力があることが確認できました。

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次にローカル発振器を接続したトランスバータの出力を直接測ったところ、67.9mVとなりました。「SHF測定器(検波器)の製作(6)ケースの蓋を取り付けて完成」で測ったトランスバータの出力39.6mVの倍近くとなりますので、トランスバータの出力から先のケーブルやリレー、コネクタなどのロスが生じているように思いました。

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以上の計測のためにトランスバータをケースから出したので、入れ直してから出力を再度測ったところ35.2mVとなってしまい、先の同様の状態での計測39.6mVより低くなってしまいました。接続ケーブルの曲がり方などが微妙に変わってしまった影響があるのかもしれません。

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この直後に5GHzの接続に使用しているケーブルのロスの状態を測ってみました。上記のトランスバータの出力にケーブルと変換コネクタを接続して測ったところ25.3mVとなり、コネクタが増えたこともありますが、ちょっとロスが多いように見受けられました。

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SHF測定器(検波器)の製作(6)ケースの蓋を取り付けて完成

「SHF測定器(検波器)の製作(5)動作確認」で、トランシーバーとトランスバータの出力が曲がりなりにも測れそうであることが確認できましたので、側面両側に真鍮板をはんだ付けして完成形にしました。はんだ付けに当たっては、ケースはんだ付け時の熱で部品が外れていないことを、側面の板を一部はんだで仮止めしてテスターでコネクタや端子間の導通を測って確認しながら作業を進めました。すべてのはんだ付けが完了して、次の写真のようになりました。

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完成したものを使って、先と同様に1200MHzトランシーバーと5GHzトランスバータの出力を測ってみました。

1200MHzトランスバータの出力は3.115Vとなり、ケースの蓋が開いている状態の2.795Vより高くなりました。

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5GHzトランスバータの出力も39.6mVとなり、ケースの蓋が開いている状態の27.5mVより高くなりました。

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完全にシールドされることにより、周囲の影響が少なくなった結果かもしれません。

なお、5GHzのトランスバータが受信状態の場合は、4.6mVでした。ローカル発振器からの漏れと思われます。

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SHF測定器(検波器)の製作(5)動作確認

ケースの蓋が開いている状態ですが、動作確認をしました。貫通コンデンサからの出力をデジタルテスタに接続して測定します。

まず、1200MHzのハンディ100mW出力を測ったところ、2.795Vとなりました。

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さらに5GHzのトランスバータ出力にもつないで測ってみたところ、27.5mVとなりました。

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なんとか動作していることが確認できました。

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SHF測定器(検波器)の製作(3)部品の組み上げ1

20mmX80mmの真鍮板を折り曲げて、20mmX20mmのケースを組み上げました。この大きさにしたのは、SMAコネクタと貫通コンデンサの間に2mmほどの隙間を作り、そこにチップダイオード1SS315を取り付けるためです。下の写真のように、ケース内のSMAコネクタの中心線と貫通コンデンサのリード線との間に隙間ができるように組み上げました。また、この写真の下に写っている中心に穴の開いた20mmX20mmの真鍮板については、次の項で説明します。

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SHF測定器(検波器)の製作(2)部品の準備

構想した検波器の部品を手元にあるものを中心に準備しました。SHF帯の製作のためできるだけ小さく製作したいので、電子部品はチップ部品が中心となります。部品のうちダイオードは1SS315、抵抗は100オーム1/8Wを2個並列接続で50オーム1/4W(250mW)とし、あとは貫通コンデンサ1000pFとラグ板、コネクタはSMAオスコネクタ(ねじ止めのもの)です。ケースは0.2mm厚の真鍮板をカッターナイフで切って、20mmの立方体(サイコロ型)となるように20mmX80mmのもの1枚、20mmX20mmを1枚、箱型に合わせて作った蓋になる22mmX22mmを2枚それぞれ作りました。次の写真は準備した部品ですが、20mmX20mmの真鍮板を製作途中で追加作成したため、この写真にはそれが写っていません。

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SHF測定器(検波器)の製作(1)構想

昨年製作した波長計で5GHzのトランスバータ出力を測ってみようとしましたが、この波長計では一旦アンテナで放射した電波を別のアンテナで受けてその強さを測ることとなり、現時点では5GHz帯のアンテナを2つは持っていないため、この方法はとれませんでした。
そこで、電力計が作れないかと手元の本を探したところ、送信機出力をダミーロードで消費させて、その高周波電流をダイオードで整流した出力を電圧計で測る電力計の説明がありました。絶対値は校正が必要ですが、少なくともメーターが振れれば出力あることがわかりますし、メーターの振れの大小が調整の参考になりそうだと思いました。そこで、波長計と同様に0.2mm厚の真鍮板で小さなケースを作って、その中にチップ抵抗とチップダイオードを入れて、電力計のセンサー部のようなもの(マイクロ波検波器)を作ってみることにしました。
本格的な製作記事では、厚さのあるしっかりしたケースを使用していることが多いのですが、精度は二の次にして手軽に製作できることから、0.2mm厚の真鍮板での作成です。
回路図はとても単純で、次のようなものです。

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2022年11月13日 (日)

SHF測定器(同軸型波長計)の製作(2)

11月2日に記載したSHF測定器に透明なカバーを付け、可変抵抗器とラジケータを接続して、完成することができました。
組み合わせた部品は、次の写真のように、アクリル板をヘアドライヤーで熱して曲げたもの、可変抵抗器、ラジケータです。

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アクリル板には、コネクタ類や可変抵抗器のための穴を開けました。

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組み上げた状態は、次の写真のようになります。

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1200MHzのハンディトランシーバーで動作確認しました。コネクタに簡単なアンテナを付けてトランシーバーを近くに置き、送信にするとラジケータが振れました。

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真鍮管部分の接触を良くする方法を再考する予定です。

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2022年11月 2日 (水)

SHF測定器(同軸型波長計)の製作(1)

5GHz帯のトランスバータが完成して初QSOができましたが、今後SHFの実験を進めていくにあたり、何か測定器が欲しいと思いました。
手元のいろいろな資料をコピーして読み漁り、手元部品を探したところ、受信機の動作確認のためのシグナルジェネレータと、送信機の動作確認のための電解測定器なら作成できそうな状況でした。
シグナルジェネレータは、トランスバータの動作確認の際「5GHzトランスバータ25年越しの完成へ(4)」で利用した方法がありました。この時利用した部品を組み上げればシグナルジェネレータはできそうです。しかしながら、シグナルジェネレータを発展させてビーコンが作成できそうに思いましたので、シグナルジェネレータは後回しにして、まずは簡易な電解測定器を準備することにしました。
一番簡単な方法は、必要な周波数のアンテナ出力をダイオードで整流してメーターで見ればいいのですが、これだと使用するアンテナの周波数帯の電波が出ていることがわかるだけなので、できれば周波数を測れるものがよいと思いました。
そこで、「1200MHzマニュアル」に記載されていた「同軸型周波数計」(著者:JR7JID)を作成することにしました。
これは共振を利用したもので、金属の箱の中に共振棒を出し入れし、その共振棒の長さにより周波数を測定するものです。
DIY店で真鍮板(記事では0.5mm厚となっていますが、私は0.2mm厚を使用しました。)と真鍮管を購入して、共振器を作成しました。検波用ダイオードは、1-6GHzを対象としたのでリンク部分が5mmと非常に短いため、1SS99は使用せず、チップダイオードの1SS315(先日入手したばかり)を使用しました。はんだ付けが難しかったのですが、リード線をつけ足したりして、検出器部分が何とか組みあがりました。
試しに1200MHz帯のトランシーバで至近距離で送信し、テスターで電圧を測りながら共振棒を出し入れしてみたところ、記事に記載された1.2GHzの長さである59mm前後の位置でメータが動作し、検出することができました。
現時点の検出器部分は下の写真のとおりです。今後、これにボリュームとメーターを取り付けて、測定器として完成させたいと思っています。

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2022年10月23日 (日)

5GHzトランスバータ25年越しの完成へ(7)

7.初QSO

本日2022年10月23日午後2時40分頃から50分頃にかけて、5GHz帯での初QSOができました。
yamaメーリングリストで5GHzトランスバータの組み上げを報告したところ、JF1TPR局が湘南平へ移動運用していただけるとの申し出をいただきました。そこで午後2時頃から自宅2階ベランダに機器を準備し、5GHz帯の呼び出し周波数周辺を聞いていたところ、JF1TPR局のCQがS9+と強力に聞こえ、コールバックしてQSOとなりました。JF1TPRさんには、お忙しい中移動運用してQSOしていただき、ありがとうございました。私のトランスバータがきちんと動作していることが確認でき、今後5GHzで出ることができることとなりました。

その時の私の機器の状況は、次の写真のようでした。

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パラボラアンテナが向いている方向の家の右側が湘南平の方向の4km先になります。テレビ塔はここからは直接見えません。
交信時の親機(C701)の周波数表示は、1279.98MHzでした。ローカルオシレータは4480MHzなので、4480+1279.98=5759.98MHzとなりますが、多少の周波数ずれがあるかもしれません。

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これをきっかけに、5GHz帯でいろいろ実験など出来たらと思っています。

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