2023年7月17日 (月)

ボール紙とアルミテープによる5GHz帯ホーンアンテナの製作実験(続)

6月3日の記事に掲載した5GHz帯ホーンアンテナについて、その後エレメントの長さや短絡板の位置などをいろいろ変えてLiteVNAで計測したりして試行錯誤したところ、そこそこの利得があるのではないかという結果が得られたので紹介する。実用性については、今後実際に使用してから改めて報告したいと考えている。


1 寸法
今までの製作実験の結果から、変換器のエレメントは2φmmのすずメッキ線で作成し、エレメントの導波管内での高さは11.2mm(導波管の材料であるボール紙の厚さ0.6mmを考慮するとSMAコネクタからの高さは11.8mm)、導波管はWJR6規格(内寸40mm×20mm)、エレメントから短絡版までの距離は12mmとする。ホーンの大きさは後述。


2 材料
材料は厚さ0.6mmのボール紙、表面処理していない(テスタで導通があることを確認)厚さ0.05mm光沢アルミテープ、厚さ11μmのアルミ箔、M1.4×3mmねじ及びナット、接着剤(今回は「コニシ株式会社ウルトラ多用途接着剤SU」を使用した)、2φmmすずメッキ線6.5mm長、0.5φmm×5mm長程度の導線(部品の脚の残り)、SMAコネクタ、M2×6mmねじ及びナットである。

材料

大きさ

使用箇所

備考

ボール紙

0.6mm

変換器及びホーン

アルミテープ

0.05mm

変換器

表面処理なし(光沢)

アルミ箔

11μm

ホーン

ホーン全体を覆えるアルミテープがあればその方がよい

ねじ・ナット

M1.4×3mm 12

変換器及びホーン

ねじ・ナット

M2×6mm 4

コネクタ取付

コネクタの穴の数が4つの場合

SMAコネクタ

1

エレメント

すずメッキ線

2φmm 6.5mm

エレメント

導線

0.5φmm 5mm

エレメントとコネクタの接続

接着剤

ホーンへのアルミ箔貼り付け


3 製作方法
(1) エレメント
① SMAコネクタ上のエレメントの長さを11.8mmにするため、コネクタの基台の接続部分の長さ5.3mmを引いた6.5mmの長さにすずメッキ線を切る。上下面を平らにするため、カッターで少し長めに切断してから、ノギスで測りながらやすりで削った。エレメント長はコネクタに合わせて調整する必要がある。
Dscn3168

② ①で作成したエレメントをSMAコネクタに取り付けるため、エレメントの一端に0.6mmドリルで穴を開け、0.5φmm程度の導線を取り付けた。
Dscn3169
Dscn3170

③ ②で作成したエレメントをSMAコネクタにはんだ付けして取り付けた。コネクタ上の高さが11.8mmであることをノギスで測定した。
Dscn3172

(2) 変換器
① 設計図に従い、変換器と短絡板をボール紙で切り出した。

ダウンロード - henkan_plan.pdf

Dscn3173

② 折り目にカッターで軽く線を入れてから、折り曲げた。
Dscn3174
Dscn3176

③ 折り曲げた形を保ちながら、内側にアルミテープを貼り付けた。ボール紙が平らなままアルミテープを貼り付けてしまうと、折り曲げた時に導波管内部にしわが生じてしまうため、なるべく折れ曲がった形でアルミテープを貼り付けていくことが、製作のコツである。また、変換器の折りしろやホーンと接続する部分は、アルミテープ同士又はアルミ箔が接触するようにアルミテープを貼り付ける必要がある。各取付穴は組み上げ後に位置がわかるように、あらかじめキリで穴を開けておいた。
Dscn3177
Dscn3178

④ 短絡板についても、変換器本体と同様に折り曲げながらアルミテープを貼り付けた。
Dscn3180

⑤ 変換器本体に短絡板を取り付けながら、組み上げた。なお、組み上げ前にアルミテープに取付穴を1φmmのドリルで開けておいた。SMAコネクタは位置合わせをして2φmmの穴を開けてねじを通しておいた。
Dscn3182
Dscn3183
Dscn3184

⑥ (1)で作成したエレメントを取り付けて、変換器は完成した。なお、最初作成した短絡板は少し隙間ができてしまったので、サイズを調整して作り直した。(①に掲載した設計図は、修正後の大きさとなっている。)
Dscn3193
Dscn3194

⑦ 出来上がった変換器をLiteVNAで測定したところ、5760MHzでVSWRが1.359となり、まずまずの値と思われた。5GHzのバンド内のVSWRなどはほぼ一定であったので、変換器はこれで完成とした。
D11_2_b12_rev2_2

(3) ホーン
① ホーンの設計は、インターネットを検索して見つけ出した「The W1GHZ Online Microwave Antenna Book」(http://www.w1ghz.org/antbook/contents.htm)に掲載されている「HDL ANT for Windows」を利用し、「周波数:5760MHz、H面:40mm、E面:20mm、利得:14dB」と設定して、ホーンの設計図を作成した。
Hdl_ant_1
Hdl_ant_4

② ①で作成された設計図はポストスクリプト型式でありWindowsでは直接利用できないため、Linux(Ubuntu)でPDFに変換してから、プリンターで印刷した。

ダウンロード - horn_wrj6.pdf

③ ②で印刷した図面に組み立てしろや変換器との取付しろを付け加えて、設計図とした
Horn_wrj6_add

④ ③の設計図の角や穴の位置などをボール紙にキリで写して、トレースした。
Dscn3190

⑤ トレースしたボール紙を切り抜き、アルミ箔を接着剤で貼り付けた。変換器同様ある程度折り曲げて形を整えてからアルミ箔を貼った方が、しわが少なくきれいに貼ることができる。
Dscn3191
Dscn3192

⑥ アルミ箔は、変換器との接触部分を考慮しながらボール紙に合わせて切り抜いて、ヘリの部分は折り曲げて接着した。
Dscn3197
Dscn3198

⑦ ホーンの形を整えながら、折り曲げて立体に組み上げた。なお、折り曲げる前に、各取付穴を1φmmのドリルで開けておいた。
Dscn3201
Dscn3202
Dscn3203
Dscn3204

⑧ ホーンと変換器をねじで取り付けて完成した。
Dscn3205
Dscn3206
Dscn3207

⑨ 完成したホーンアンテナをLiteVNAで測定したところ、5760MHzでVSWRが1.332、5GHzのバンド内でもほぼ一定となり、実用範囲と思われた。
Horn_5ghz

4 他のアンテナとの比較
・ LiteVNAでVSWRを計測しただけではアンテナの性能がどの程度か検討が付かないので、室内実験ではあるが、LiteVNAのマーカー出力を受信してGigaStで比較してみることにした。
・ 5GHz帯のWiFiに付属していたアンテナと作成したホーンアンテナとの受信強度を比較した。
・ LiteVNAのマーカー出力が小さめなため1m程度の距離での測定となったが、ホーンアンテナの方が10dB以上の利得があることが確認できた。
(1) WiFiアンテナ
Wifi

(2) ホーンアンテナ
Hron

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2023年6月29日 (木)

ハンディ受信機DJ-X2000による9600bpsパケット受信

先日、広い周波数範囲(説明書によると0.1~2149.999950MHz)が受信できるハンディ受信機であるアルインコ社のDJ-X2000の中古を入手しました。これを使えば、以前製作した5GHzトランスバータで1.2GHzトランシーバの受信周波数範囲外になってしまう衛星(Ten-Kho2)
のダウンリンク周波数が受信できるかもしれないと考えての入手です。
Ten-Koh2はまだ先なので、DJ-X2000の説明書を見ていろいろ試していたところ、9600bpsのパケットGMSKやG3RUHがこれで受信してデコードできないかとも思い、APRSの144.64MHzで運用されている9600bpsの電波を受信して、試してみました。
DJ-X2000はFMステレオ放送に対応するため、FMモードにナローとワイドがあります。GMSKなどの9600bpsはナローモードしかない一般的なFMトランシーバではデコードできませんが、FMワイドモードならデコード可能かと考えました。
DJ-X2000を144MHz帯の八木アンテナに接続して十分な電波強度を確保した上で、FMワイドモード受信にし、DJ-X2000の音声出力を9600bpsモードでdirewolfを起動したパソコンの音声入力端子へ接続したところ、デコードに成功しました。
その様子は次の写真のとおりです。この方法を応用して他に何ができるか、今後考えてみたいと思っています。
Dscn3122

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2023年6月11日 (日)

JAMSATシンポジウム2023関連イベント「衛星からの電波受信体験プログラム」

昨日2023年6月10日土曜日に、JAMSATシンポジウムが3年ぶりに日本科学未来館で集まって開催されました。
その時の関連イベントで、午前中に高知高等専門学校の「次世代高専衛星プロジェクト」で開発された段ボールアンテナの製作会が一般向けに行われ、完成したアンテナを使用して衛星からの電波を実際に受信する体験プログラムが実施されました。
その際受信したアマチュア衛星SO-50はFMレピータが稼働し、アマチュア局のQSOや、この受信体験プログラムを知っていたアマチュア局から会場での受信者へ呼びかける声などを聴くことができました。
衛星からの電波を受信するにはアンテナを衛星の方向に向ける必要がありますが、今回のイベントでスマートホンにインストールしておいた「AmsatDroid」というアプリを起動して、リアルタイムで衛星の方向と仰角を指で指し示すことで、イベント参加者の受信成功に導くことができたと感じました。そこで、このアプリをどのように使ったかを、簡単に紹介します。
なお、衛星の移動に伴う周波数補正については、事前のアンテナ製作会の中でSO-50のダウンリンク周波数である436.800MHzの+15kHzから手動で下げていくことを担当者が説明していましたが、実際の受信時には2、3分ごとに5kHzずつ下げた周波数をアナウンスすることで、周波数補正をしてもらいました。

1 パスの前にGPSによりAmsatDroidで現在地を取得してから、SO-50のパスを表示させた。日本科学未来館のグリッドロケータはPM95voであった。
Dscn2936_2

2 パスの間は衛星の位置表示画面に切り替え、画面上に赤い点で表示される衛星の位置を確認し、1、2分ごとにアンテナの方向を指し示した。周波数補正は2、3分ごとにアナウンスした。
Dscn2937_2
※ 上記画面はイベントの翌日撮影したものであるので、衛星の位置を示す赤丸がなく、図の右上の位置表示も受信時とは異なる。


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2023年6月 3日 (土)

ボール紙とアルミテープによる5GHz帯ホーンアンテナの製作実験

〇 製作した5GHzトランスバータ用にはパラボラアンテナを入手済みであるが、手軽に移動運用するために小型のアンテナを製作したいと考えた。
〇 SHFではホーンアンテナが作りやすく基本のアンテナと思われたので、これを作成したいと考えた。
〇 ホーンも同軸導波管変換器(トランスデューサ)も真鍮板などの金属板で作成することが一般的であるが、金属板を加工してうまくいかなかった場合にがっかり度が非常に大きいので今まで踏み切れなかったが、ボール紙で形を作ってそれに金属テープを貼り付けて試してみたらどうかと思い付いた。
〇 以前ホームセンターで購入したアルミテープとボール紙があったので、以下のとおり製作して測定など実験してみた。

1 同軸導波管変換器の製作

(1) 5GHz帯の導波管はWRJ-6(内径40mm×20mm)又はWRJ-7(内径35mm×16mm)を使用するが、次の「2 ホーンの製作」で使用した設計図(”The W1GHZ Online Microwave Antenna Book” Chapter 2 ‘Electromagnetic Horn Antennas’ Figure 2-4 の5760MHz14dBiホーンアンテナ展開図)がWRJ-7サイズとなっていたので、WRJ-7サイズの同軸導波管変換器を製作することにした。

(2) 内径は35mm×16mmと決まったが、同軸を接続するプロープの長さや位置が不明であった。探し出したメーカーのCAD図面はWRJ-6サイズであり、WRJ-7サイズのものは見つけられなかった。

(3) 「電子情報通信学会 知識ベース「知識の森」9群7編4章「4-1導波管変換器」に導波管変換器の動作などの説明があり、その中に「プローブは,挿入長λ/4(λ:自由空間波長)かつ導波管の短絡板との間隔をλg/4(λg:導波管内波長)として挿入され,両者の整合がとられる」との説明を見つけた。

(4) 導波管内波長λgについては、WRJ-6における波長表がJARLの技術資料に掲載されていたほか、1アマ無線工学試験の解説等にλg=λ/√(1-(λ/λc)^2)(λ:自由空間波長、λc:TE10モードの際の導波管の遮断波長=2×(導波管の長い辺の長さ))であるとの説明を見つけた。

(5) 5GHz帯の呼び出し周波数5760MHzで計算すると、λ=(3×10^8)÷ (5760×10^6)=0.052m=52mm、λc=2×0.035=0.07m=70mm、λg=0.052/√(1-(0.052/0.07)^2)=0.052/√(1-0.551837)=0.052/0.66045=0.077676m=77mmとなる。

(6) 上記(5)から、同軸導波管変換器のプロープの長さは52/4=13mm、プロープを取り付ける位置は77/4=19.25mmなので長さ38.5mmWRJ-7導波管の中央にプロープを取付けて導波管の一方を金属遮蔽すればよいと考えた。

(7) 製作する変換器は35mm×16mm×38.5mmの大きさで、35mm×16mmの一方がふさがり他方が解放されているものとなるので、その展開図をボール紙に描いて切断した次の写真のようなものを作成した。プロープの位置にはプロープとコネクタの取り付けねじが通る穴の位置に目印となる小さめの穴を開けておいた。
Dscn2887

(8) 上記(7)のボール紙の内側となる面にアルミテープを貼り付けた。
Dscn2888

(9) 取付面から13mmの高さになるようにプロープをはんだ付けしたSMAコネクタをプロープがアルミテープの側に出るようにこの箱にねじ止めし、アルミテープ側を内側にして箱型に折って組み立てた。
Dscn2890

(10) 一旦箱を輪ゴム等で仮止めしてLiteVNAで計測してみたところ、SWRの極小点が5.8GHz付近になっていることが確認できた。
Henkan01

(11) そこで接合部を接着剤やテープで留めて同軸導波管変換器を組み立てた。
Dscn2892

(12) 組みあがった状態でLiteVNAで再度計測したところ、SWRの極小点が5.6GHz付近に下がっていた。
Henkan02

(13) プロープを少し切断したところ5.8GHz付近まで上昇したので、調整をここまでとした。
Henkan03

2 ホーンの製作

(1) 上記1(1)に記載したホーンアンテナの設計図を印刷し、それをボール紙に写し取った。
Dscn2880

(2) 線に沿って切り抜いた。
Dscn2882

(3) 切り抜いたボール紙にアルミテープを貼り付けた。幅が足りない部分は、段差があるより隙間がある方がまだよいかと考え、重ならないように継ぎ足しして貼り付けた。
Dscn2895

(4) アルミ面が内側となるよう折り曲げて組み立て、接合部を接着剤とテープで留めて組み上げた。
Dscn2899

(5) 同軸導波管変換器とホーンも接合部(裏面)を接着剤とテープで留めた。
Dscn2902

(6) 出来上がったホーンアンテナをLiteVNAで計測したところ、5.8GHz付近でSWRが極小となった。
Dscn2900

Horn20230602_02

※ LiteVNAによる計測は周囲や接続の状態により変化した。今回はボール紙でアンテナが作れるかという実験で、このアンテナが実用的かどうかは今後使用した時に改めて検討する。

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2023年3月13日 (月)

おもちゃの修理(番外編)目覚まし時計

おもちゃではありませんが、自分の持っている目覚まし時計を2台修理したので、紹介します。
どちらも急に動作しなくなったもので、いずれも同様の部分が原因でした。そのうちの2台目の修理状況を以下に記載します。

【不具合症状】
今まで正常に時を刻んでいた時計が、落したりしたわけではないのに、急に動作しなくなった。
Dscn2202

【原因究明と修理方法】
1 裏蓋のねじ3つを外して、裏蓋を外してから表部分を分解した。表正面の黒い枠は強く引くと外れた。その下にある透明なカバーは、アラーム設定針を回すための機構も兼ねていたので、上部にあるバネ(赤い部分)を外してから、外周の爪4か所(青い部分)を外した後、秒針、分針、時針を外した。なお、文字盤(裏側で爪で固定されていたほか、両面テープで一部固定されていた)も外して、次の2で機構部分を留めてある爪を外すための穴が見えるようにした。
Dscn2199

2 ブザーの配線(赤い部分)のはんだ付けを外してから、機構部分の大きな爪1つ(黄色い部分)を外し、表から上記1で外した文字盤の下にあった穴から機構部分の小さな爪2つ(オレンジ色の部分、写真では隠れて見えない)を外した。これで機構部分がケースから分離される。
Dscn2195

3 機構を覆っている黒いカバーを外すと、基板と歯車が見えた。歯車は載っているだけなので、外れて状態がわからなくならないように、カバーを外すときには裏返さないなど慎重に作業する必要がある。
Dscn2200

4 3の写真の基板の右下部分、電池のマイナス側端子が接続されていたパターンをよく見ると傷があるのよう見えたので、その部分の被膜を剥がしたところ、パターンの幅が変化している部分3か所(赤丸のくびれの部分)にひびがあり、テスターで測定すると導通がなかった。
Dscn2200_2

5 この部分に細い銅線を当ててはんだ付けした。
Dscn2201_2

6 はんだ付け後にテスターで導通を確認した。
Dscn2201

7 機構部分の黒いカバーを取り付け、機構部分をケースに取り付けし、ブザーの配線をもとどおりはんだ付けし、外した針などをきちんとアラームが設定時刻に動作するよう確認しながら、すべて組み立てた。電池を入れ、動作確認し、修理を完了した。
Dscn2202

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2023年1月26日 (木)

モールス電鍵(カプセルトイ)

昨年9月に発売決定のアナウンスがあり、10月に販売開始されたとの情報があったカプセルトイの「モールス電鍵」が気になっていたのですが、出かけるたびにカプセルトイの販売機を確認しても、今まで見つかりませんでした。
昨日地元平塚市のショッピングモールに映画を見に行った時、そのモールの通路に多数設置してあるトイカプセル数十個を見ても見当たらなかったのですが、モール内のゲームコーナーに集中して置かれている販売機の中に発見し、さっそく「ガチャ」してきました。
帰宅してカプセルを開封したところ、4種類のうち台が大理石(マーブル)模様のものが入っていました。

Dscn1903

無線機(FT-847)の上に載せると次の写真のとおりで、大きさ(小ささ)がわかると思います。

Dscn1904

昨日時点でカプセルトイ販売機の中は、あと2、3個入っていました。結構売れているようです。

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2023年1月24日 (火)

SHF測定器(検波器)の製作(8)自作検波器の実力(?)確認

完成した検波器がどれほど使い物になるのかを、手元に1.5GHzまで使用できる10dBと20dBのMini-Circuitsのアッテネーターがありましたので、これを使って検討してみました。このアッテネーターはBNCコネクタのため、いくつかの変換コネクタを介しての接続となりました。ロスがかなり生ずるとは思いますが、アマチュアの実験と割り切って作業しました。

まず、使用する変換コネクタをすべて接続した状態の測定です。1200MHzトランシーバーは3.756V、5GHzトランスバータは18.9mVとなりました。

Dscn1859

Dscn1865

1odBアッテネーターを介した値は、1200MHzでは1.002V、5GHzでは1.8mVとなりました。

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20dBアッテネーターでは、1200MHzで0.322V、5GHzで0.5mVとなりました。

Dscn1861

Dscn1867

電力P=電圧EX電流I、電流I=電圧E÷抵抗Rですので、P=(E^2)/R(電力は電圧の2乗割る抵抗値)となります。
そして上記計測に使用した自作検波器の抵抗値は50Ωと共通ですので、たとえば電力P1とP2の比は電圧E1とE2の2乗の比になります。P1:P2=(E1^2)/R:(E2^2)/R=E1^2:E2^2

1200MHzでのアッテネーター10dBとなしの電圧は1.002Vと3.756Vですので、電圧比は1.002/3.756=0.266773、電力比は0.266773^2=0.071168となり、dB換算すると、10log(0.071168)=-11.477dBとなることから、アッテネーター10dBの減衰量にほぼ一致します。
また、アッテネーター20dBとなしの電圧は0.322Vと3.756Vですので、電圧比は0.322/3.756=0.08573、電力比は0.08573^2=0.0073495となり、dB換算すると、10log(0.0073495)=-21.337dBとなることから、アッテネーター20dBの減衰量にほぼ一致します。
アッテネーター10dBと20dBの測定値の差は、21.337dB-11.477dB=9.86dBとなり、アッテネーターの差にほぼ一致しますので、それぞれの測定値(計算値)がアッテネーターの表示値と1dBほどの差があるのは、接続コネクタの損失かもしれません。

一方5GHzでは、アッテネーター10dBとなしの電圧は1.8mVと18.9mVですので、電圧比は1.8/18.9=0.095238、電力比は0.095238^2=0.009070294となり、dB換算すると、10log(0.009070294)=-20.42dBとなってしまいました。
アッテネーター20dBとなしの電圧は0.5mVと18.9mVですので、電圧比は0.5/18.9=0.026455、電力比は0.026455^2=0.000699868となり、dB換算すると、10log(0.000699868)=-30.55dBとなります。
しかしながら、アッテネーター10dBと20dBの測定値の差は、30.55dB-20.42dB=10.13dBとなりますので、アッテネーターの差にほぼ一致します。
アッテネーターが1500MHzまでのものであるので、接続部等での損失が10dBほどあるのかもしれません。
このことについては、5GHzで使用できるアッテネーターを入手して、後日検討してみようと思いますが、作成した検波器が5GHzでもそれなりに利用できそうに思っています。

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SHF測定器(検波器)の製作(7)5GHzトランスバータ各部分の計測

出来上がった検波器で、5GHzトランスバータのロスなどを確認してみようと考え、各部分を測ってみました。

まず、ローカル発振器の2240MHz出力は2.872Vでした。1200MHzトランシーバーの100mW出力と比較して、それなりの出力があることが確認できました。

Dscn1846

次にローカル発振器を接続したトランスバータの出力を直接測ったところ、67.9mVとなりました。「SHF測定器(検波器)の製作(6)ケースの蓋を取り付けて完成」で測ったトランスバータの出力39.6mVの倍近くとなりますので、トランスバータの出力から先のケーブルやリレー、コネクタなどのロスが生じているように思いました。

Dscn1848

以上の計測のためにトランスバータをケースから出したので、入れ直してから出力を再度測ったところ35.2mVとなってしまい、先の同様の状態での計測39.6mVより低くなってしまいました。接続ケーブルの曲がり方などが微妙に変わってしまった影響があるのかもしれません。

Dscn1854

この直後に5GHzの接続に使用しているケーブルのロスの状態を測ってみました。上記のトランスバータの出力にケーブルと変換コネクタを接続して測ったところ25.3mVとなり、コネクタが増えたこともありますが、ちょっとロスが多いように見受けられました。

Dscn1855

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SHF測定器(検波器)の製作(6)ケースの蓋を取り付けて完成

「SHF測定器(検波器)の製作(5)動作確認」で、トランシーバーとトランスバータの出力が曲がりなりにも測れそうであることが確認できましたので、側面両側に真鍮板をはんだ付けして完成形にしました。はんだ付けに当たっては、ケースはんだ付け時の熱で部品が外れていないことを、側面の板を一部はんだで仮止めしてテスターでコネクタや端子間の導通を測って確認しながら作業を進めました。すべてのはんだ付けが完了して、次の写真のようになりました。

Dscn1842

完成したものを使って、先と同様に1200MHzトランシーバーと5GHzトランスバータの出力を測ってみました。

1200MHzトランスバータの出力は3.115Vとなり、ケースの蓋が開いている状態の2.795Vより高くなりました。

Dscn1843

5GHzトランスバータの出力も39.6mVとなり、ケースの蓋が開いている状態の27.5mVより高くなりました。

Dscn1845

完全にシールドされることにより、周囲の影響が少なくなった結果かもしれません。

なお、5GHzのトランスバータが受信状態の場合は、4.6mVでした。ローカル発振器からの漏れと思われます。

Dscn1844

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SHF測定器(検波器)の製作(5)動作確認

ケースの蓋が開いている状態ですが、動作確認をしました。貫通コンデンサからの出力をデジタルテスタに接続して測定します。

まず、1200MHzのハンディ100mW出力を測ったところ、2.795Vとなりました。

Dscn1835

さらに5GHzのトランスバータ出力にもつないで測ってみたところ、27.5mVとなりました。

Dscn1838

なんとか動作していることが確認できました。

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